近年、少子高齢化や核家族化、家庭の事情などにより供養方法が多様化しており、今まで一般的だった「遺骨をお墓に入れる」供養方法だけでなく「遺骨を手元に置く」手元供養の需要が高まっています。
手元供養の中でも、様々な形に加工して常に身につけられると人気を博しているのがメモリアルジュエリー/遺骨ジュエリー。メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーは、人間だけではなくペットの供養方法としても注目されています。
この記事では、メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーの種類やメリット・デメリット、メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーにかかる費用について解説します。
メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーは、遺骨や遺灰、遺髪をペンダントや指輪、イヤリング、ブレスレッドなどに納めたり、遺骨や遺灰、遺髪を加工してジュエリーを作製したりして身に着ける手元供養のひとつ。
最近では故人だけでなく、愛するペットの供養の選択肢として、遺骨ジュエリーを作製する方が増えています。お墓に納骨する方法よりも、愛する人やペットを身近に感じられると好評で、悲嘆、悲観、喪失感を癒すグリーフケアとして最適な供養方法とも言われています。
メモリアルジュエリーの種類は、指輪やペンダント、イヤリング、ブレスレットなど様々で、メーカーによって素材や作製方法が異なります。
遺骨ダイヤモンドとは、故人やペットの遺骨や遺灰、髪の毛に含まれる炭素から作製するダイヤモンドのこと。メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーのように、遺骨ダイヤモンドを供養の方法として選択する方が増えています。
メモリアルジュエリーと遺骨ダイヤモンドは、加工方法と技術手順が大きく異なります。
メモリアルジュエリーは主にご遺骨を樹脂で硬化し直接リングやペンダントに納めるものを指すのに対し、遺骨ダイヤモンドは遺骨や遺灰から作製したダイヤモンドそのものを指します。遺骨ダイヤモンドも、指輪やペンダント、イヤリングなどのジュエリーに加工することが可能です。
メモリアルジュエリーの種類と、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
遺骨を樹脂によって硬化させ、指輪やペンダントに収納して作製されたメモリアルジュエリーです。誕生石を選び、遺骨と合わせてオーダーメイド加工できるメーカーもあります。
特殊樹脂タイプのメリットは、UV樹脂と呼ばれる特殊な樹脂を用いることで、水や衝撃に強く劣化しにくいこと。デメリットは、遺骨と樹脂を固めるため純粋な遺骨からできた遺骨ジュエリーではないことです。
値段は約5万円〜約20万円とデザインや素材により大きく異なります。
粉末状に砕かれた遺骨を粘土と練り合わせて珠玉を作り、ブレスレットや、ペンダントやイ ヤリングなどに加工するタイプのメモリアルジュエリー。
焼き物タイプのメリットは、完全防水のため汚れにくく、万が一汚れても洗浄できる点。ただし、珠玉の遺骨ジュエリーはデザイン性に欠け、普段使いしにくいのがデメリットと言えるでしょう。
値段は約11万円で、男性用のブレスレットの場合、珠の数が多いため別途費用が追加されることも。
遺骨からカルシウムを抽出し、天然のサファイアと融合して作製するメモリアルジュエリーで、指輪やペンダントに加工が可能。ペットの遺骨からペンダントやブレスレット、ピンブローチなどオーダーメイドのサファイアタイプのメモリアルジュエリーを作製できるメーカーもあります。
サファイアタイプのメリットは、特殊技術によって、硬度が高い遺骨ジュエリーが作成できるため、輝きを保ち続けること。デメリットは、化学的な手法で作られるため、自然な色合いを出すことが難しく、遺骨ダイヤモンドに比べるとカラーバリエーションが少ない点。
値段は約25万円〜約68万円とカラット数によって異なります。
遺骨と粘土を混合して作られた天然の真珠タイプのメモリアルジュエリー。
真珠タイプのメモリアルジュエリーのメリットは真珠の核入れ作業や浜揚げに立ち合い、メモリアルジュエリーが作られる工程を確認することができる点。デメリットは、貝の体内にメスを入れる核入れ時期(5月〜7月初旬)に近い場合は、注文できない可能性があること。また、真珠の核が特殊なため、イヤリングやブレスレットなどのジュエリー加工ができないことも。
値段は約30万円で、核入れなどの作業に立ち合う場合は別途料金が発生します。
ダイヤモンドタイプのメモリアルジュエリーである「遺骨ダイヤモンド」は、遺骨や遺灰、遺髪に含まれる炭素から作製する合成ダイヤモンドのこと。遺骨ダイヤモンドの輝きは生前の故人輝きを彷彿させ、身近に置いたり身につけたりすることで、まるで常に故人のそばにいるかのような気持ちにさせてくれます。また、故人だけではなくペットの遺骨や遺灰、体毛から遺骨ダイヤモンドを作製することも可能。
遺骨ダイヤモンドのメリットは、上品かつデザイン性に富んだ指輪やペンダント、イヤリングなどにジュエリー加工ができること。デメリットは遺骨ダイヤモンドの作製は高度な技術を要するため、スイスのラボに遺骨や遺灰、髪の毛を送った後、約6カ月間の遺骨ダイヤモンドの作成期間が必要な点。
メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーという供養方法の注目が高まったのは、供養に対する考え方が時代とともに変化したことが理由の一つとして挙げられます。
以前は墓などに納骨し供養する方法が一般的でしたが、時代とともに家族の形態やさまざまな事情から考え方が変化し、供養方法も多様化し始めました。
メモリアルジュエリーは古い慣習やルールに縛られず、それぞれの個性を生かした新しい供養方法なのです。
手元供養であるメモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーの種類と、それぞれのメリット・デメリットを紹介しました。
メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーは、愛する故人やペットを常に身近に感じることができ、永遠に繋がりを持てるため、グリーフケアとしても注目されています。
メモリアルジュエリー/遺骨ジュエリーを一生の宝物・形見として使い続けるために、周りの親族や身内とも相談しながら、後悔しないように慎重に選びましょう。